大友健右

第1回「手抜き工事、欠陥工事について」

せっかく建てた家が、欠陥住宅だったら――。
この誰にでも起こり得る非常事態に対し、一般の消費者はあまりにも無力。そのため近年注目を浴びているのが、建築検査=インスペクションだ。
建築検査はどのようなことをしてくれるのか、欠陥住宅はなぜ生まれ続けるのか。
外装インスペクションを請け負うプロタイムズ総研代表取締役・大友健右と、建築検査で活躍してきた建築ジャーナリスト・岩山健一が縦横無尽に語り合った。

建築検査は“4つのポイント”をカバーする

大友プロタイムズ総研では、外装インスペクションという診断・現地調査サービスを提供しています。住宅塗装の本来の目的を「雨風から守る」と考え、外装劣化調査診断士がビデオまで撮影しながら行う綿密な検査です。建物全体の劣化具合が一目瞭然になるので、予算に応じて無駄のない修繕方法を選べると好評を博しています。
一方、岩山先生は建築ジャーナリストであるだけでなく、建築検査官としても長く活躍されてきました。欠陥住宅等の調査を依頼されることも多いと思いますが、実際に欠陥工事というのはどれぐらいの頻度であるものなのでしょうか。

岩山物理的、法的なことで言えば、ほとんどのものに何らかの問題はあります。その中で欠陥というのは、受け取る側の感覚に左右される。傷一つないものを受け取らないと気が済まない人、機能さえ果たしてくれればいいと言う人、あまりこだわらない人など、様々です。ウチのお客様も同様で、欠陥の定義自体が人によって異なります。
私達が欠陥と位置付けるのは、まず「法律に違反しているもの」。確認申請ではなく、運用として違反しているものがあります。例えば耐力壁(※)があるけど、耐力壁としてのスペックを満たしていない場合、役所の検査では見つからないことがある。もう一つ大きな欠陥は「契約」です。契約にあるものが満たされていない、履行されていない。指摘としては、最も膨らみやすいところです。
もう一つは、「社会通念上の欠陥」。契約や法律にあろうがなかろうが、社会通念上ダメだよね、という欠陥です。それから「施工常識」。「普通はこんなことやらないよね」ということをしてしまう。
法律がどうなっていようが“ここにある傷”が気になって仕方がないという人もいますが、最終的にはちゃんと直してもらうことで解決する形に誘導します。あまり気にしない人であっても、問題を指摘されると「私を騙していたのか!」と怒り出す場合もあります。

※耐力壁:建物に対して横からの力に抵抗する力を持たせるための壁。これがないと建物が風や地震で倒壊してしまう。

大友先生の中で「これは欠陥」というものがありますか。

岩山私達は問題点を指摘しますが、それをどう捉えるかは依頼者の判断です。依頼者が欠陥だと思えば欠陥。

大友弁護士みたいな感覚ですね。

岩山健一氏

岩山そうですね。若い頃は「欠陥がありますよ!」と盛んにやっていたけど、最近は受け止める側が選択することだな、と考えるようになっています。もちろん、「欠陥があったので裁判をやってくれ」と言うのであれば、お受けしますけど。

大友先生はテレビで「99.9%は欠陥」とおっしゃっていましたよね。でも、許容範囲で収まることもあるわけですか。

岩山それはあります。内装仕上げに関しては、私達は言いません。傷が付いているとか、破れているとかいうことはほとんど指摘しない。法律、契約内容、社会通念、施工常識の範囲に限らせていただいています。あまり細かいことは指摘しません。

大友法律を遵守していれば良い?

岩山と言うより、それが当たり前ということです。むしろ契約と違う工事がされていた方が、検査をした結果としてのウエイトは大きい。報告書を法律問題、契約問題の順にまとめていくのですが、やはり契約問題が大きいですね。
法律に関しては、性能に関する法律、単体規定ですね。建蔽率(※)や北側斜線制限(※)などは一切指摘しません。建物の性能にまったく影響しませんから。依頼されてもあまり立ち入らない。そうではなくて、構造規定や防火規定などの単体規定、建物の性能を重点的に見ています。

※建蔽率:土地に対してどのくらいの建物が建築できるかのルールのひとつ。
※北側斜線制限:自分の家の北側の家の採光を遮らないために決められた建物の高さに関してのルールのひとつ。

欠陥住宅はなぜ生まれるのか

大友先生に依頼される方は、どんな局面で「欠陥住宅だ」と気づくケースが多いのでしょうか。

岩山普通と違う物理的現象が起きている時などですね。カビが生えている、水が漏れている、妙に暑い、寒い。それで気づいたり、ひびが入ったとか、異質なものを現認した時でしょうか。通常起こる現象であれば「これは心配することないですよ」と言いますが、見過ごせないものがあれば検査することになる。すると色々な問題が出て来ます。医者でもパッと見ただけで「この人は風邪じゃないな、学校を休みたいだけだな」とすぐわかる先生がいるように、我々も入り口でわかることがあります。

大友インスペクションにおいてセカンドオピニオン(※)みたいなものは消費者にとって必要だと思われますか。

※セカンドオピニオン:一人だけの専門家の意見だけでなく、二人以上の専門家の意見を求め検討すること。

岩山それは一人より二人に聞いた方がいいかもしれないですね。ただ、私の印象では、他の所で聞いて、ウチが最後なんです。ウチが一番高いから(笑)、安い所から順に回ってくるんですね。安い所の診断に納得行かない人が来ます。

大友安い所のインスペクションには、素人目にも甘い所がある、ということですかね。

大友健右と岩山健一氏

岩山そうだと思います。依頼者はメカニズムが知りたいわけです。例えばなぜこういう染みができるのか、そういうことを合理的に説明できるか否か。実は、できない所が多い。

大友以前に先生は「現象が把握できれば原因はわかります」とおっしゃっていましたが、それは経験値ですよね。合理的に説明ができるような人材育成についてはいかがですか。

岩山私達は場数を踏んでいますから、理屈が体系化されているんです。だから人材育成においても、簡単に伝えられる状態になっています。ノウハウがパターン化されているのです。

大友それを学べば現場で間違うこともない。

岩山しかもある程度能力があれば短期間で学べます。インスペクションにおいてはそういう人材を増やしたいと考えています。

大友なぜそういう所が増えないのでしょう。

岩山不思議ですね(笑)。棟数をこなしている会社がそこへ行き着くかと言うと、必ずしもそうではない。技術者は上昇志向がありますから、原因を分析して知識として蓄えたい、現場で役立てたいはずなのに。クライアントからそういう依頼が少ないのか、業者を意識し過ぎているのか。

大友それはあるかも知れませんね。ゆるいインスペクションの方が業者にとってはありがたく、厳しいインスペクションの方が消費者にはありがたい。業者寄りの場合は、ゆるくなりますよね。

岩山要は事実を当事者達がどう判断するかです。業者が事実をねじ曲げて騙そうとするかもしれないし、施主が事実の重みを認識できなくて、変な所で解決しなければならないかもしれないけど、いずれにしても次のステージとして検査していかなければなりません。

大友そう考えると、インスペクションは警察とも似ていますね。事実を確認して結果を検証する。

岩山そこまでが検査会社の一番大きな仕事だと思います。その後は弁護士のウエイトが大きくなりますね。 プロタイムズ総研では、技能研修などは行っているのですか。

大友はい、もちろん行っています。定期的に「塗装技能オリンピック」も開催しています。これは、弊社と関連会社の塗装職人らが参加するもので、競技と審査を通じて自身の技術のレベルを知ってもらうこと、そして他の職人の技術に触れることを目的としています。他にも弊社では、一級塗装技能士(※)の資格取得を奨励しています。その甲斐あって、2015年には資格取得者数が38名を突破しました。

※一級塗装技能士:国家資格のひとつ。7年以上の実務経験があり、塗装に関しての学科、実技の試験に合格したもの。

岩山それは素晴らしいですね。

欠陥住宅は手抜き工事の結果ではない!?
多重構造、下請けの問題点
対談者:岩山 健一氏(一級建築士・建築ジャーナリスト)
岩山 健一氏
1956年生まれ。株式会社日本建築検査研究所代表取締役。一級建築士、建築ジャーナリスト。 欠陥住宅問題をいち早く正面から捉え、消費者側の代弁者として現在まで数多くの紛争解決に携わり、その件数はゆうに2000件を超える。テレビ各社報道番組や特別番組、ラジオ等にも出演し2005年からはTBS「今日発プラス」のレギュラーコメンテーター、テレビ東京「完成ドリームハウス」の監修、2007年からはテレビ朝日「スーパーモーニング」欠陥住宅コーナーなども務める。雑誌プレジデント、新聞の連載記事「自分の家は自分で守る」の執筆や、欠陥住宅裁判鑑定人としても活躍。著書にロングセラー「欠陥住宅をつかまない155の知恵」「欠陥住宅に負けない本」「偽装建築国家」などがある。
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