ウィローグリーン|様々な種類がある“ヤナギの色”
ウィローグリーンとは、ヤナギの若芽のようなくすんだ黄緑のことです。ウィローとはヤナギ科ヤナギ属植物の総称で、ウィローグリーンはかなり灰みがかっている場合もあります。日本にも柳葉色という色名がありますが、こちらはヤナギの葉のようなやわらかな黄緑のことです。比べるとウィローグリーンのほうがかなり黄みが強く、同じ「ウィロー」に由来するとは思えません。
実は、厳密に言うとウィローと日本の枝垂柳(しだれやなぎ)とは種類が異なるようです。コトバンクにはウィローグリーンについて「ヤナギの若芽のような、くすんだ黄緑のこと」と書かれていますが、福田邦夫さんが著した『色の名前辞典507』では、「解説がないのでなんともいえないが、この色名は葉の色を表わすのではなく、ことによると絹毛を密生させた猫の尾のような花穂からとられた色名なのかもしれない」と述べられています。ウィローグリーンの色名の起源は1672年だということですから、かなり歴史のある色だと言えるでしょう。
ヤナギは北半球に広く分布しているので古くから色の名前になっていたらしく、広葉・低木のヤナギの一種であるサロー(sallow)は1000年頃には色名として成立していたそうです。
人が持って生まれたボディーカラーに合った色を診断し、ファッションに活かす「パーソナルカラー」では、人をスプリング、サマー、オータム、ウィンターの4タイプに分け、似合う色を提案します。色との相性の良し悪しは、他人に与える印象に大きな影響を与えます。
ただし、「このタイプにはこの色が合う」というだけであれば、パーソナルカラーを一覧表にして提供すればいいだけで、診断する必要はありません。実際には人はそれぞれ肌の色、瞳の色、髪の色などが異なりますので、パーソナルカラーは「見極める」必要があるのです。
例えば同じ緑でも、ある人に青緑の服を着せると顔色が暗く見えるのに、黄緑の服を着せると艶が出てヘルシーな印象になることがあります。つまり、この人は黄緑と相性が良いのです。おそらく黄みが強いウィローグリーンの服も似合うことでしょう。
このように、「赤や緑が似合う」と断定するのではなく、「その人に似合う赤」「その人に似合う緑」があると考えるのが、パーソナルカラーの思考法です。
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